インビザラインというのは、よく見かけるワイヤーとブラケットを使わないで、透明のマウスピースのような装置を、何個も作り、それを順番に歯にはめて、矯正治療をしていく装置です。
若い女性にとっては、装置が見えないという理由で、結構人気が出ているようなのですが、どうなんですか?と 今日、一般歯科をしている後輩から相談を受けました。
矯正治療の知識や技術がそれほどなくても、歯型をとって、会社に送れば、装置が出来上がってくるため、一般の歯科医でも、安易に手がけることができるようで、心配しているとのことです。
インビザラインもきちんと診断して、適応症かどうか判断して、正しく使えば、悪い装置ではないのかもしれませんが、それでも治療の確実性はと言えば、ワイヤーに勝ることはないと思います。
かぶせ物やつめ物の作製のために、歯型をとって技工所へ送り、出来上がってきたものを患者さんのお口の中に装着する。それと同じ感覚で、インビザラインを行っているとするととても危険です。
矯正治療は、症例を分析し、形態的な問題点、原因となっている舌や口唇の問題、顎関節の状態など、すべて把握したうえで、正確な診断を行い、治療方針をたてて初めて開始できるのです。
治療中にも起こりうるリスクをできるだけ回避するために、細心の注意を払い、最も成功率の高い方法を選択しなくてはならないと思っています。
そんなに安易にスタートして、患者さんもドクターも泣くことにならないか心配です。
歯は、ルックスのためだけにあるのではありません。
消化器官の第一番目として、全身の健康の源として、重要な役割を担っているのです。
皆さんが、賢い患者さんでいてくださることを願うばかりです。
日: 2009年2月14日
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インビザラインって?
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小さい頃に矯正したのに
昨日の新患のAさんは、高校3年生の出っ歯の女の子
なんと小学3年生から4年間も矯正治療に通っていたとのこと
Aちゃんは先生が好きになれず、矯正治療が嫌になり、やめてしまったそうです
患者さんの希望でやめるのだからと、費用も戻ってこなかったそうです
そういう話を聞くと、本当に悲しく、気の毒に思います
費用の面だけでなく、治療のタイミングを逸してしまったことが残念です
でも、子どものせいなのか、先生のせいなのか、線引きが難しいというのが、矯正治療の宿命なのです。
だから矯正治療をしない殮ではなくて、慎重に開始してください
特に子どもの矯正治療は、子育てと同じだと思っています
同じ装置でも楽しんでつけるのと、嫌々つけるのでは、子どもの負担は大きく異なります。
より少ない負担で、より大きい利益を医療の基本です