日: 2009年12月19日

  • ムーシールド

     昨日の初診患者さんは、受け口(反対咬合)の年長さんの女の子note.gif
     近くの歯医者さんで矯正治療を始めようとしていたが、難しい症例なので、大学病院へ行くように言われたとのこと。
     でも、あまり遠くまでは行きたくないということで、お友達の紹介でイノウエ矯正歯科に来て下さいました。
     
     同じような難しい反対咬合の患者さんを、小さい頃から高校生になるまでどのように治療していったかをご説明して、治療内容を御理解いただきました。
     相談の最後に、「ムーシールドってどんな装置なのですか?」という質問をいただきましたので、ここで、ご説明した内容を御紹介しますね。
     ムーシールドは、小児歯科の先生が、乳歯の反対咬合の治療のために開発された装置です。
     とてもよく考案された良い装置だと思います。
     ただ、乳歯の反対咬合は、装置を入れなくても自然治癒する症例から、逆に、かなり大掛かりな装置でも治すのが難しい症例まで、さまざまなのですが、それをムーシールドですべて対応しようとすると無理があります。
     その判断を間違わなければ良いのですが、危険なのは、ムーシールドでの治療を長引かせすぎて、治療のタイミングを逸してしまうことです。
     上顎の骨に対する装置の効果は、小さい頃の方が良いことが報告されています。
     劣成長のである上顎の骨そのものアプローチして、小さい間に、上顎の骨の成長を促すことが、肝心なのです。
     ムーシールドはお子さんの負担が比較的少ない点は良いのですが、上顎の劣成長に積極的に対応できる装置ではないので、そういう対応が必要な症例には適応できないのです。
     というお話をさせていただきました。御参考までに。