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正確な情報と正確な判断力で、本物の矯正治療を!

金曜日, 12月 16th, 2022

矯正治療って、出っ歯や受け口やガタガタをきれいにするルックスを治す治療と思われていますよね。

美容外科とか、美容皮膚科とか、エステなどの仲間で、それらの歯科バージョンって、思われていますよね。

ほとんどの方がそう思われていると思いますし、それはしかたがないと思っています。

一般歯科医の中にもそう思われている先生も多いような気がしますし、矯正認定医を持っておられる先生の中にも、少なからずおられるような気がします。

並べることだけでなく、皆さんの健康を支えていくために、きちんとした機能そして安定が大切なんです。

レベルの高い一般治療をされている診療所の先生方とご一緒させていただいていた若い頃、とても尊敬しているけれど口の悪い先生から、「矯正のヤツラは、並べることしか考えてへんやろ!」って、言われたことがあります。

その言葉に”カチン”と来た私は、「そうは言わせない。」と、咬合器(顎を楽にした時としっかり噛んだ時の咬み合わせのずれを調べる機器)に模型をマウントして診断する方法や、MFT(口腔筋機能療法:安静時と嚥下(飲み込み)時の舌や口唇の位置や動きが正しくできていないのを、治していくレッスン)などを、取り入れてきました。

口唇や舌の問題ある位置や動きに問題があると、上下の歯がしっかり噛まないため、前歯誘導や犬歯誘導(前歯や犬歯で顎の動きをコントロールする)ができなくなってしまうのです。

補綴の場合には、被せ物の形を調整することで、複雑な咬合を仕上げていくことができますが、矯正治療は、生えている歯をワイヤーで動かして調整していくので、いつも100点満点は難しいのですが、目指しています。

ただ、口唇と舌を味方につけておけば、歯は自然に噛むという性質を持っているので、装置を外した後、何μというオーダーで、自分で正しい位置に移動してくれます。

話が逸れてきましたが、何を言いたいかと申しますと、安易に矯正治療を始めたばかりに、治療結果に不安を感じられた方が、相談に来られることが増えてきているような気がします。

そして、残念ながら、そういう方の再治療はとても難しいのです。

私が矯正医を始めた約40年前よりも、はるかに矯正治療は身近なものになってきて、とてもうれしく思っていますが、正しい矯正治療の知識がみなさんに行き渡っていないがために、問題も増えてきているように思います。

私たち矯正医の業界にも問題があるのです。

厳しい試験に合格した日本矯正歯科学会の臨床指導医(旧矯正専門医:他の矯正の団体の反対に合い統一できていないので、名称を変更せざるをえなかった。)は、約10万人と言われている歯科医の中でも、わずか300人ほどしかおらず、他にもいろいろな難しい現状があり、なかなか矯正歯科の専門医制度がスタートできない現状があります。

その間にも、どんどん矯正治療を開始される人が増えていきます。

日本は、きちんとした制度ができるのが、特に遅いと感じています。

禁煙もそうです。

私は禁煙推進活動もしていますが、日本政府の対応の遅さに辟易していても仕方がないので、正しい知識を子ども達に伝える草の根活動をしています。

矯正治療に関しても、”矯正はエステと同じ”と考えるのではなく、ご自身の正確な情報と正確な判断力で、本物の矯正治療を開始していただきたいと願ってやみません。

長文で申し訳ありません。お付き合いいただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

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