昨日の初診患者さんは、受け口(反対咬合)の年長さんの女の子
近くの歯医者さんで矯正治療を始めようとしていたが、難しい症例なので、大学病院へ行くように言われたとのこと。
でも、あまり遠くまでは行きたくないということで、お友達の紹介でイノウエ矯正歯科に来て下さいました。
同じような難しい反対咬合の患者さんを、小さい頃から高校生になるまでどのように治療していったかをご説明して、治療内容を御理解いただきました。
相談の最後に、「ムーシールドってどんな装置なのですか?」という質問をいただきましたので、ここで、ご説明した内容を御紹介しますね。
ムーシールドは、小児歯科の先生が、乳歯の反対咬合の治療のために開発された装置です。
とてもよく考案された良い装置だと思います。
ただ、乳歯の反対咬合は、装置を入れなくても自然治癒する症例から、逆に、かなり大掛かりな装置でも治すのが難しい症例まで、さまざまなのですが、それをムーシールドですべて対応しようとすると無理があります。
その判断を間違わなければ良いのですが、危険なのは、ムーシールドでの治療を長引かせすぎて、治療のタイミングを逸してしまうことです。
上顎の骨に対する装置の効果は、小さい頃の方が良いことが報告されています。
劣成長のである上顎の骨そのものアプローチして、小さい間に、上顎の骨の成長を促すことが、肝心なのです。
ムーシールドはお子さんの負担が比較的少ない点は良いのですが、上顎の劣成長に積極的に対応できる装置ではないので、そういう対応が必要な症例には適応できないのです。
というお話をさせていただきました。御参考までに。
タグ: 治療
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ムーシールド
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歯科矯正学の進歩
昨日に続き、今回の福岡の日本矯正歯科学会で感じたこと。
矯正治療って、治療の技術面や装置はずいぶん開発されて、大きな変化をしているけれど、基本的な部分は、まだほとんどわかってないんだってこと
海外・国内の招待講演者の多くが、機能と形態の関係や骨格と咬合の関係、すなわち、どうして不正咬合が生じてくるのか?どう捉えれば良いのか?ということを取り上げておられました
これらは、18世紀中ごろの矯正歯科の巨匠、ブローべンド先生、サッスーニ先生、モス先生達が、いろいろと述べておられたことで、あの頃の先生はすごかったんだぁ。。って改めて思いなおしました
それが、未だに解明されていないのです少しだけ、遺伝子操作のお話もありましたが。。。
私が毎日取り組んでいるこれらの難問は、矯正治療の一番基本の部分、重要な部分だと思っています。
少しでも、核心にせまりたい。がんばるぞぉ
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はぎしりが、胃酸から食道を守っている
福岡で開催されていた日本矯正歯科学会から戻ってきました
いろいろと収穫はあったのですが、興味深かった講演のひとつが、鹿児島大学の宮脇教授の御講演
歯軋りをすることにより唾液が分泌されて、それが、胃食道逆流症による胃酸から食道を守っていて、つきつめていくと、矯正治療が、全身の健康、QOLの向上に役立っていくといったお話でした
このお話はNHKの”ためしてがってん”でも、紹介されました
そういう目ではぎしりを考えてみると、なるほど。。
前にも書きましたが、人間の体って、本当にすごい力を持っているんだなぁ。。って思います。
いつも思うのですが、ヒトは人間である前に、動物なんだ、生物なんだ。って思うと、いろんな謎が解けてくるような気がしています
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矯正治療は美容整形じゃない!
昨日の初診相談は、地方出身の優秀な理科系女子大生さん。舌癖を伴う出っ歯さんで、益々出っ歯がひどくなることが心配されました
相談の最後に、お願いがあるのですが。。。とのこと、何かと思ったら、
「父が、美容整形みたいな矯正治療はするなと言っている。矯正治療が健康のために必要であることを、書いていただけますか?」
もちろんOKしました
私は、いつも、
”矯正治療は全身の健康のため、笑顔はがんばったことへのご褒美”と、お話しています。
エステの向こうじゃなくて、がん治療の手前と説明しています。
一生、全身の健康を支えてくれるしっかりとした正しい歯並びを、矯正治療で獲得していくのです。
機能的に正しい歯並びは、必ず美しい笑顔を保証してくれますよ
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矯正治療の子どもたちにも!
今朝のニュースで、広島大学病院で、重病の子どもたちやそのお母さんの心のケアをしてあげているというチャイルドケアなんとか?(正式名称を忘れました。どなたか教えてください。)という方が紹介されていました
手術を怖がる子どもに、「怖そうに見えても、手術着の下は、やさしいお医者さんなんだよ。呼吸器は、息がしやすいように早く治るようにつけるんだよ。」って、かわいいぬいぐるみを使って説明してあげていました
亡くなる直前の子どもを抱かせてあげることにより、お母さんと子どもの心が通うというお話に、朝から涙が出ました怜
とても大切な仕事だと思いました
ふと我に返って、矯正治療だって同じだわ。と思いました
これまでも気を配ってきたつもりでしたが、改めて、しっかり認識することができました
何もわからず、不安を抱いてやってくる子どもたち、我が子のことがゆえに、不安を募らせてしまう母親の気持ちをほぐしてあげられるように、広島大学病院のチャイルドケアなんとかさんのようなアプローチを、スタッフといっしょに、もっと心がけていこうと思いました -
何歳になっても矯正治療は可能です。
今日の初診相談の26歳の女性の方は、今までずっとかかりつけだった先生から、事情があって、他の先生に変わったとたんに、矯正相談を受けるように勧められたそうです
診ると、上あごが狭くて、歯並びががたがたで、ほとんど噛んでいない状態で、前歯は逆になっていて、削れていて、歯茎は下がりかけていました
間違った位置で噛んでいるので、顎の周りの筋肉も疲れるようでした
前のかかりつけの先生は大人の矯正について消極的だったのかもしれませんね殮
歯医者さんでも、大人になったら矯正治療は無理と思っておられる方がいて、あまり勧めてくださらないようですが、今では、何歳でも矯正治療ができます
そういう私も、以前は、40代の患者さんの歯を抜いて矯正治療を開始するのに、ずいぶん勇気を振り絞ったものでした
宝塚クリニックの患者さんの最高年齢はなんと79歳なんです
きれいになられて、とても喜んでおられました
何歳になっても矯正治療は可能です
いつまでも若々しく、美味しいものをいっぱい食べて、楽しい毎日を過ごすために、あきらめずに、矯正治療を考えてみてくださいね
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矯正治療をする決断としない決断
昨日、30歳の女性が初診相談におみえになりました
出っ歯でかみあわせが深く、将来の歯の健康がとても心配されました
ただ、いろいろと迷うことも多く、開始の決心がつきかねる御様子でした。
30際前後の(アラサーって言うんですよね)女性の方で、ずっと迷っていて、しばらくぶりに再相談を受けられて、「あの時、矯正治療を始めていたら、私、もう終わってるんですよね。。」って、残念そうに言われる方に、ときどき遭遇します
矯正治療をお願いする医院はしっかり選んで、安易に決めない方がいいけれど、矯正するかしないかは、しっかり決めて、するなら早く開始されることをお勧めします。
だらだら迷っていて、何年か後に、「やっぱりしよう、、」なんてことにならないように、「今回開始しないなら、二度と矯正治療のことは考えないぞ。」ぐらいの勢いで、考えていただくことをお勧めしています。
しっかり考えて、やると決めたら、できるだけ良い成績で、できるだけ早く終了できるよう、いっしょにベストを尽くしましょう
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日本歯科医師会雑誌に掲載されました!
私の論文、「子どもの不正咬合」が日本歯科医師会雑誌10月号に掲載されました
一般歯科の先生方に、「子どもの不正咬合」の知識や考え方が、正しく伝わることを願って書きました
子どもの不正咬合の問題点を発見できるのは、毎日子どもたちに接しておられるかかりつけの先生方や学校歯科医の先生方なのです。
不正咬合の芽をみつけることにより、問題が大きくならないようにしてあげることができるのです。
また、残念ながら、間違ったアプローチのために、うまく治療が進まず、悲しい思いをしておられる子どもさんも見受けらますが、そういった悲劇が減ることも願って書きました。
「矯正治療によって幸せになる子どもさんが増えること、間違った矯正治療のために悲しい思いをする子どもさんが減ること」が、私の願いです
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お父さん、お母さんも矯正治療をあきらめないで!
今日の初診の最後は、小学3年生のRちゃん
お母さんといろいろとお話している間に、途中から、40代のお父さんのガタガタの歯並びに、歯周病が始まって、たいへんなことになってきている。というお話に。。。
聞くところによると、もうあきらめムード
でも、私は、是非、あきらめないで矯正治療に挑戦してくださいとお話しました
イノウエ矯正歯科では、一度あきらめかけた矯正治療を、40代、50代になってから、始められる方が結構多いのです
歯の大切さを本当に感じ始めた世代は、ある意味での矯正適齢期ではないでしょうか
Rちゃんのお父さんも一度初診相談を受けてくださるといいな。と思っています
お父さん、お母さん、矯正は子どものものとあきらめないで、お口の健康に裏打ちされた華麗なる老後のために、是非、ご検討くださいね -
口の機能の発達と不正咬合の予防
今、横浜の青葉台というところに来ています。
青空研究会の仲間が集まって、小児歯科の元開冨士雄先生をお招きして、御講演をしていただきました
元開先生は小児歯科の観点から、子どもたちの口の発達過程を正常に導いてあげることで、機能と形態が調和した健康な口腔を持つ子どもたちを育てることができるので、その点にもっとかかわっていくべきである。という内容のお話をしてくださいました。
私も、矯正歯科医として、子どもたちの歯並びを治療しながら、この原因は何なのだろう。なんとか予防できないものか。と常々思っていましたので、まさしく目からうろこのお話でした。
これまでも、不正咬合も予防が大切という考えを持ってきましたが、さらに、もっと深く掘り下げて行きたいと思っています