危険をはらんだ矯正治療の普及

3月 17th, 2024

最近、矯正治療が急激に普及してきているようです。

うれしい反面、心配も膨らんできています。

当院には、最近、「歯は並んだけれど、噛めないので困っています。」という相談が増えているのです。

私が34年前に開業して間もない頃、アメリカの友人の診療所見学に行った時のことです。

ご自宅で、子供さんのアルバムを見せていただいたとき、

「この子は、僕の患者さん、この子も、この子も、、、」

と、多くのお子さんが友人の診療所で矯正治療を受けていて、アメリカでの矯正治療の普及度に驚くと同時に、日本の子どもたちも、もっと矯正治療を受けてくれるといいなと思ったものです。

この30年で、急激に環境は変わり、日本でも矯正治療が常識になってきました。

ただ、アメリカでは、親の世代ももっと以前から矯正治療を受けており、矯正治療とはどういうものかということが理解されていたように思うのですが、日本は急速に広まり過ぎて、本物の矯正治療とはどういうものか?ということがわからないまま、どんどん広まっているように思えます。

(アメリカでも、歯型だけ送ればマウスピースが送り返されてくるような矯正治療が問題にはなっているようですが、、、)

歯を並べるだけが矯正治療ではないのです。

ルックスをきれいにするためだけのものではないのです。

患者さん方の動機はそうかもしれませんが、だからといって、それでOKではありません。

しっかり噛むことができて、装置を外した後も安定し、患者さん方の100歳人生の食を支え続けることができるようにするのが矯正治療なのです。

美容整形、エステ、ヘアーサロンとは違うのです。

”矯正治療は、全身の健康を守るための医療”であることをしっかり認識して、慎重に治療を始めていただきたいと、心から願っています。

 

 

 

 

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Happy Smile Board

1月 8th, 2024

イノウエ矯正歯科では、”装置を外した時に、思い切りの笑顔を写真に撮らせていただき、メッセージをお願いする。”ということを、30年以上続けています。そして、その写真は待合室のHappy Smile Bordに掲示、やがて、ボードの奥に並べてあるアルバムに収めさせていただいています。

写真のように今のボードは、12月に装置を外した方の、笑顔の写真でいっぱいに!

年末年始は、クリスマスがあったり、忘年会や新年会があって、みんなと集まって楽しくお食事する機会が多き季節なので、9月ごろから「じゃあ、年末には外せるようにがんばろう!」ということで、みんなラストスパートをかけます。

マラソンの35km地点みたいですね。

食事も、歯磨きも、ゴムも、舌の動きの練習も、たいへんなことばかりで、「矯正なんか、やめときゃよかった。」って、一度や二度は思うはず!

私も矯正装置に苦しんでいましたから、わかります。

でも、その大変さがあるからこそ、装置を外した時の喜びもひとしお!

42.195kmという途方もない距離を走り抜いた後のゴールで味わう充実した喜びと同じなんだろうな。。。って想像します。(マラソンには挑戦したことがありませんが、、、)

12月のみなさん!おめでとうございます!

健康な歯と素敵な笑顔で、美味しく、楽しく、100歳人生を過ごしてくださいね。

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床暖房

1月 5th, 2024

明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

今日から、イノウエ矯正歯科も診療をスタートしました。

みなさんの健康と笑顔のために、スタッフ一同、より一層頑張っていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。

ところで、今日のタイトルは、床暖房!

イノウエ矯正歯科のほとんどの床下には、床暖房が張り巡らされています。

33年前にテナントで開業した時には、普通のエアコンの暖房しかなかったので、頭はボーっと温かいのですが、足元が冷たくて、一生懸命厚いソックスを履いていましたが、あるレストランで床暖房を知り、その後は床暖房のとりこになりました。

その後は、しっかり床暖房を使っています。

昨年末、ちょっと趣のある小さな旅館を訪れた際にも、なんとすべての畳の下に床暖房が入っていました。

床暖房って、おもてなしの心のような気がします。

さりげなく、人知れず、患者さんやスタッフを寒さから守ってくれる。。。

ちょっと光熱費が上がっているようですが、それ以上の温かさをもらっている気がします。

床暖房に守られながら、寒い冬もがんばっていきたいと思います。

 

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喫煙防止教育

12月 1st, 2023

年に1回、ボランティアで、池田市立北豊島小学校に喫煙防止のお話をしています。

学校歯科医の頃から、もう20年近くになるように思います。

今年も、今週水曜日の2時間目に、6年生全員にお話してきました。

タバコの害について、なのになぜ吸い続けるのか? なぜ売られているのか? やめる方法は? 新型タバコについて、などなど、、、

とても熱心に聞いてくれて、質問も積極的にしてくれました。

以前はアメリカの子どもたちと比べて、日本の子どもたちは質問が少ないと残念に思っていたのですが、最近は変わってきたようでうれしく思いました。

「お父さんに早く死んじゃうからやめてほしい。ってずっとお願いしているのにやめてくれない。どうすればいいか。」と真剣に悩んでいる女の子からの質問もあって、いろいろと作戦を提案してきました。

副流煙対策も進み、禁煙する人も増えてきたとは言え、「子どもたちへの教育って、大切だなぁ。。」って、改めて気付かされました。

私も子どもたちからエネルギーをもらえた素敵な1時間でした。

 

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困った症例についての相談

11月 24th, 2023
最近、子どもの矯正治療も盛んになってきました。とてもいいことなのですが、困ったことも生じているようです 。
ある一般歯科の友人から相談がありました。マイオブレースを長年入れ続けていた結果、噛めなくなっている子や、奥の歯が生えなくなってしまった子、顎が痛くなった子たちが相談に来る機会が増えてきて、困っているとのことなのです。
マイオブレースの他にもいろいろとあるようですが、多くの一般歯科、小児歯科の先生方には、診断がないように思います。
本物の矯正治療は、きちんとした検査結果に基いて、どういう症例なのか、診断を行います。
そして、個々の患者さんのそれぞれの診断結果に適応する治療法を考え、採用する装置を決め、治療のおおよその流れを想定した後、選択した装置を用いてドクターが治療していきます。
それに対し、そうでない先生方は、装置が治療してくれると思っておられる感じなのです。
骨格の特徴も、歯並びの状況も、千差万別でまったく同一の症例なんてありえないのに、すべて同じ装置で対応できると考えておられるように感じます。
たまたま”はまった”症例は治るかもしれないのですが、すべてが”はまる”はずがないのです。
ですので、前回にも書きましたが、子どもの矯正治療は簡単そうだからといって、安易に飛び付かず、慎重に治療を開始してほしいと思います。真面目に使ってきた装置のせいで、子どもたちの健康が害されている状況を目の当たりにして、友人は心が痛むと言ってました。
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子どもの矯正治療こそ慎重に!

8月 3rd, 2023

「革命的な小児矯正の方法を教えます。」という案内が当院にも舞い込んできました。「一般歯科でも矯正治療ができ、収入を上げることができますよ。」とうたい文句で、なんとビジネス戦略の会社から送られてくるのです。

「子どもの矯正治療は大人に比べて簡単」と、お母さん方も歯科医の先生方も思いがちなのですが、子どもの矯正治療こそ、取り返しのつかないことになる可能性があるのです。

確かに、少し手をかけてあげただけで、外れかかった軌道から正常軌道に乗せてあげられる子もいます。

でも、そうではなくて、上下の顎の大きさのバランスが悪い。噛み合わせがずれている。大人の歯の萌出方向がおかしい。習癖が強く関与している。などの症例では、ひとつ間違えると、もう少し早く適切な対応ができればよかったのに、、、、ということが起こりうるのです。

建築に例えれば、歯のガタガタを並べるということは、壁紙を張り替えたりするようなイメージなので、やり直しも可能です。しかし、子どもの矯正治療は、建物の基礎がしっかりしているか?、柱の数が足りているか?ということへの対応なので、やり直しが効かないのです。成長してしまって、治療のタイミングを逸してしまってからでは、元に戻ることができないのです。。

一般歯科の先生方には、矯正治療の難しさをしっかりご理解いただくこと、お母さん方には、正しい知識で判断していただくこと、そして、子どもたちが安心・安全な矯正治療を受けられる環境が、少しでも早く整うことを願っています。

 

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中高年の矯正治療

1月 19th, 2023

矯正治療は、子どもや若者のもの!と思っておられませんか?

1/18日の産経新聞に、「中高年の矯正治療」についての記事が掲載されましたので、紹介させていただきます。

そう言えば、当院でもお子さんの矯正治療に続いて、ご両親が始められるケースが増えています。

40代、50代の中高年の呼ばれる年齢は、私は、「第二の矯正適齢期」と紹介しています。

体のあちこちの老化が目立ち始める時期に、咬合の崩れも生じてくるので、その前に治しておくことをお勧めします。

そして、それ以降で崩れかかった場合には、崩れる速度を遅くすることもできます。

昨日も、80代のMさんが、矯正治療終了後の資料採得に来院されていましたが、笑顔が素敵になり、若返って、一層明るく前向きになられたことを、お互い喜び合っていました。

確かに子どものようにはいかない部分もありますので、そこは、検査結果を睨みながら、うーーんと考えます。

他のドクターの意見も聞きながら、時には、一つの症例で1時間2時間と作戦を考えていることもあります。

それが、矯正の奥深さであり、私が大好きな部分です。

ときには、矯正治療によって得られるメリットとそれに必要な負担の大きさとを比較して、ご本人のご意見も伺いながら、「しない」という選択肢を選ぶことになる場合もありますが、納得した上での選択ですし、その後の注意点などもご理解いただけるので、じゅうぶんな価値があることと思っています。

あきらめずに、一度ご相談ください。

2023.1.18付産経新聞朝刊

 

 

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正確な情報と正確な判断力で、本物の矯正治療を!

12月 16th, 2022

矯正治療って、出っ歯や受け口やガタガタをきれいにするルックスを治す治療と思われていますよね。

美容外科とか、美容皮膚科とか、エステなどの仲間で、それらの歯科バージョンって、思われていますよね。

ほとんどの方がそう思われていると思いますし、それはしかたがないと思っています。

一般歯科医の中にもそう思われている先生も多いような気がしますし、矯正認定医を持っておられる先生の中にも、少なからずおられるような気がします。

並べることだけでなく、皆さんの健康を支えていくために、きちんとした機能そして安定が大切なんです。

レベルの高い一般治療をされている診療所の先生方とご一緒させていただいていた若い頃、とても尊敬しているけれど口の悪い先生から、「矯正のヤツラは、並べることしか考えてへんやろ!」って、言われたことがあります。

その言葉に”カチン”と来た私は、「そうは言わせない。」と、咬合器(顎を楽にした時としっかり噛んだ時の咬み合わせのずれを調べる機器)に模型をマウントして診断する方法や、MFT(口腔筋機能療法:安静時と嚥下(飲み込み)時の舌や口唇の位置や動きが正しくできていないのを、治していくレッスン)などを、取り入れてきました。

口唇や舌の問題ある位置や動きに問題があると、上下の歯がしっかり噛まないため、前歯誘導や犬歯誘導(前歯や犬歯で顎の動きをコントロールする)ができなくなってしまうのです。

補綴の場合には、被せ物の形を調整することで、複雑な咬合を仕上げていくことができますが、矯正治療は、生えている歯をワイヤーで動かして調整していくので、いつも100点満点は難しいのですが、目指しています。

ただ、口唇と舌を味方につけておけば、歯は自然に噛むという性質を持っているので、装置を外した後、何μというオーダーで、自分で正しい位置に移動してくれます。

話が逸れてきましたが、何を言いたいかと申しますと、安易に矯正治療を始めたばかりに、治療結果に不安を感じられた方が、相談に来られることが増えてきているような気がします。

そして、残念ながら、そういう方の再治療はとても難しいのです。

私が矯正医を始めた約40年前よりも、はるかに矯正治療は身近なものになってきて、とてもうれしく思っていますが、正しい矯正治療の知識がみなさんに行き渡っていないがために、問題も増えてきているように思います。

私たち矯正医の業界にも問題があるのです。

厳しい試験に合格した日本矯正歯科学会の臨床指導医(旧矯正専門医:他の矯正の団体の反対に合い統一できていないので、名称を変更せざるをえなかった。)は、約10万人と言われている歯科医の中でも、わずか300人ほどしかおらず、他にもいろいろな難しい現状があり、なかなか矯正歯科の専門医制度がスタートできない現状があります。

その間にも、どんどん矯正治療を開始される人が増えていきます。

日本は、きちんとした制度ができるのが、特に遅いと感じています。

禁煙もそうです。

私は禁煙推進活動もしていますが、日本政府の対応の遅さに辟易していても仕方がないので、正しい知識を子ども達に伝える草の根活動をしています。

矯正治療に関しても、”矯正はエステと同じ”と考えるのではなく、ご自身の正確な情報と正確な判断力で、本物の矯正治療を開始していただきたいと願ってやみません。

長文で申し訳ありません。お付き合いいただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

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大阪大学歯学部OG会(女子会)

11月 28th, 2022

11月27日、母校大阪大学歯学部OG会に出席してきました。

上は、80歳の先輩から、下は、4年生の学生まで、およそ40人が、同窓会館に集まりました。

まず、改修工事の済んだ学部棟と病院見学。

卒業してからは、矯正の医局にたまに顔を出す程度で、診療室内を覗くこともなく、まして、他科の診療室の中には、大学に残っている間もめったに入室することもなかったので、とても興味深く見学できました。

特に、口唇口蓋裂の子どもたちと日々向き合っている女性ドクターが説明してくれる内容は、関心させられることばかりでした。

また、口唇口蓋裂センターの部屋の壁が、クラウドファインディングで、とてもかわいらしく出来上がっていて、少し寄付させていただいた私としては、とてもうれしかったです。

見学の後は、お弁当を食べながらの自己紹介&Q&Aコーナー、みんなのさまざまな思いを聞くことができ、とても有意義な時間でした。

中でも、80歳の先輩は、長く障害者歯科の分野で活躍されていたのですが、60歳から開業準備をしていたところ、障害者歯科センターの存続が危ぶまれる状況になったので、存続させるために奔走することになり、無事センターは継続されたものの、自分の開業計画が流れてしまったそうです。

でも、その後は環境保護のボランティアを始め、その分野で本も出版されて大活躍されているとのことで、本当に誇らしく、勇気をいただきました。

また、今、病院長をしている後輩も出席してくれていて、今の阪大病院をより良きものとをするために、厚労省の方々と交渉を続けている様子などを聞かせてくれ、とてもうれしく思いました。

私もいろんなことにぶつかりながらも、なんとか切り抜けてきた自分の体験を通して、後輩たちを励ましてきました。

日本のジェンダー指数が悪いのは有名です。アメリカでも、「女性にはガラスの天井がある。」と言われています。

でも、私をはじめ、みんな若い頃は差別に悩み、悔し涙を流し、「男に生まれたかった。」って思っていたのが、今は、「女に生まれてよかった。仕事をしていてよかった。」って、思えている自分達がいることに喜びを新たにしました。

そんな先輩たちの話を聞いて、若い人たちは、おおいに励まされたようです。

女性が力をつけていくには、女性同士が助け合って、励まし合って行くことなんだなぁって、つくづく感じました。

若い後輩たちが、のびのびと自分の夢を追いかけて活躍してくれることを、応援していきたいと思った1日でした。

 

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大阪府学校歯科医会での講演

11月 14th, 2022

11月12日、学校歯科医会学術講演会で講演をさせていただきました。

タイトルは、「学校歯科医知っておきたい口腔機能発達不全症の所見とその対応」です。

「今、子どもたちの口腔機能の発育の悪さが、歯並び、咬み合わせの問題を作り出している。どういうことに気をつけてあげないといけないか。」といった内容のお話をしてきました。

いつも診療所でお伝えしていることですが、

「お口をしっかり閉じる。姿勢を正す。全身の筋力アップを図る。」

ということが、どれだけ大切か? なぜ大切なのか? だからどうしてあげないといけないのか?

というお話しです。

矯正治療を受けなくてもいいはずの子どもたちが、口腔機能の発育不全が原因で、矯正治療を受け ないといけなくなっていると思われる症例が増えていることから、その予防について講演してきました。

講演後の質問でも共感してくださる人がいっぱいで、みんなでしっかり対応していかなければ、、という気持ちが一層強くなりました。

 

 

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